フォレスターSK系相場急騰と対ロシア輸出事情

ロシアウクライナ戦争と中古車相場

オートランド東京で買取りさせていただいた中古車は、国内再販はもとより、海外への輸出も行っています。

走行距離が多い、年式が古い、等の中古車は国内での再販が難しくなる為に、そのようなコンディションでも日本車という事で好まれる海外への輸出販売相場のほうが国内再販相場より高くなります。

その他部品としてのリサイクルも含めて、様々な観点と多彩な再販ルートにより最善の査定を行える事がオートランド東京の中古車買取りサービスの強みの1つです。

今回は人気以外にも様々な要因により形成される輸出相場にまつわるお話しです。

[目次]

 

中古車輸出_オートランド東京

中古車相場が決まる要因(2020年~)

国内販売向け相場

相場下落

国内向け販売の中古自動車相場は、私達の購買による需要と供給により推移します。

最近の記憶で新しいところですと、2020年春にコロナが初めて流行した時、人の動き、経済が停滞してコロナ特需関連以外の多くの株価は大幅に下落しました。

当時は未知のウイルスと流説に不安となり、人々の積極的な購買行動も無くなりました。

この時、中古自動車については20-30%程市場取引き相場が急落したのです。

行動制限がある状況で、新しい車を買おうという意欲と環境が無くなるので当然の事だと思います。

高級車を多数展示している中古車販売店では、保有しているだけで在庫の価値が3割目減りしてしまいます。500万円の中古車を20台保有していると3000万円が、、、とても辛い状況です。

この相場下落は長くは続かず数ヶ月程で元に戻っていきました。

株と同じで下落時に売却せず保有していれば含み損となり価格が戻った時に損失を無くせますが、当時の混乱初期は近い将来、元に戻る市況を楽観的に考える事は容易ではありませんでした。

相場高騰

次は相場高騰です。

コロナ禍が落ち着き、停滞していた経済活動が再開していくと、その急増する需要に狭めてしまった供給が追い付かずに様々な分野で供給不足による物とサービスの価格急騰現象が起きました。

航空機の便数が激減している事、世界中で貿易取引きが一気に再開した事により貨物船のコンテナ不足も生じ国際物流費が高騰しました。

オートランド東京ではALTEED社の自動車用パーツ、回転灯等を販売していますが、当時は20万円で輸入できた海上コンテナ貨物費が60万円以上になり大変な思いをしました。

中古車についてはコロナ禍行動制限の解除により控えられていた購買活動が再開し価格は元に戻り、需要増により車種によってはコロナ禍以上の相場となるものもありました。

それに加えて、世界的な半導体不足という問題が生じました。

これにより新車の生産が滞り発注しても2年待ち等の状況が多発、新車が購入出来ないのなら中古車を買うしかない、という環境となり車種によっては新車価格を上回る中古車も多くみられました。

以前のように年数が経つと下落していくのが必然となる中古車の相場は、需給バランスの混乱により乱高下をする見通しの難しい局面が続く事になりました。

海外輸出向け相場

海外輸出向けの中古車相場はどのような要因で変動するのでしょうか。

前述のように、コロナ禍経済停滞からの回復、半導体不足の要因は世界的な問題なので同じく影響します。

そのような不規則な要因に加えて、国内向け相場とは異なる要因の1つに為替の影響があります。

円安となり海外販売を行う新車メーカーが軒並最高益を計上している事が報じられていますが、中古車についても円安の影響がダイレクトに影響します。

例えば某国の中古車販売業者が自国で3万ドルで流通している日本車を販売利益経費を考えて2万ドルで調達輸入したい場合、1ドル110円ならば220万円の予算となりますが、1ドル150円の円安時には300万円の予算をもつことができます。

その為に積極的に日本国内で仕入れを行う事が可能となり、またそれは同業者も同じ事となるので日本国内の買い付け価格は競合し値上がりをする事になります。

かつてのような勢いは無いとしても、世界の中では輸出大国の1つである日本において、輸出時の為替の影響は皆様もよくご存知のとおりです。

そしてもう1つの要因として、輸入国側個別の特別な事情があります。

国際市況相場

輸入国側の要因

日本車は世界中で新車販売されている人気車である事は言うまでもありません。

しかし、中古車については日本から輸出されている国はとても少ないのをご存知でしょうか。

まず1つの要因として、ハンドルの位置による問題があります。

日本では右ハンドル、左ハンドルどちらでも走行可能ですが、国によっては自国ルールと逆側のハンドルの自動車の走行を禁止しているケースもあります。

右ハンドルは日本以外にはイギリス、オーストラリア等ありますがとても少数なのです。

もう1つの要因として、日本車中古車の輸入を禁止している国の主な要因として、自国産業の保護があります。

しかし、自動車を生産できるメーカーを要する国は先進国を主に数える程です。海外のメーカーだけではなく、日本のメーカーが安い中古車を日本から輸出されると現地での新車販売に影響するという理由により、現地政府へ禁輸または高い関税かけるよう働きかけている、という側面も一部あります。

近いところですと大国中国へも中古車の輸出は行えません(第3国を経由して輸入されているケースも裏ではありますが)。

日本から中古車を輸出できる国は多いとは言えませんが、輸出国側の市況による需要の変動により、日本国内の中古車相場も影響を受ける事となります。

輸入国側の要因2 特別な事情

法律や自国産業保護等の要因をお話ししましが、それらは頻繁に変わる事の無い固定されたものとなります。

これとは別に、輸出国側の特異な状況により、特定の条件の国産中古車相場が高騰する事例もあります。

25年ルール/アメリカ

有名なところですと、アメリカの25年ルールというものがあります。

今回の記事内容はロシア向けが主題となる為に詳細は割愛しますが、右ハンドル車の走行が一切認められていないアメリカにおいて、新車製造から25年経過した自動車はクラシックカー扱いとなり、ハンドルの向き以外以外にも日本より厳しい排ガス検査等も免除となります。

その為、映画ワイルドスピードの影響もあり大人気の日本のスポーツカーが適法に輸入できる事となり、日本国内の中古車相場を高騰させています。

新車価格600万円程度の平成13年日産スカイラインGT-R(通称R34)最終型が業者オークション市場で3000万円以上の値が付く事もよく目にします。

若者の自動車離れが進むなか、走りを楽しめる中古スポーツカーは高級車となり手が届かず、ますます自動車への興味を持つ人が減るであろうこの相場高騰は良いのか悪いのか考えてしまうところです。

新政権誕生/ミャンマー

こちらはとても特殊なケースです。

10年以上前の話しですが、トヨタマークⅡの一部車種が国内市場で高騰しました。

数万円程度の解体車として流通していた中古車が、業者オークション市場で突然100万円以上の値を付ける事態になりました。

更に特異なのは、全てのグレードではなくJZX110型(通称110系マークⅡ)のNA車(ターボ車ではない)のみです。

また、外装色はパール系という謎の条件に驚いた事を覚えています。

聞いたところによると、ミャンマーで新政権が樹立され、それまで規制されていた中古車の輸入が特定条件のもとに緩和され、対象のマークⅡはそれまで政府関係者が多く使用していた為に許可が出る特定条件に該当した車種の1台との事。

その為にミャンマー国内では数百万円でも需要があるマークⅡを、関連業者が日本国内で買い集めた事により相場が高騰したようです。

余談ですが、突然の高騰と特定条件が重なる為にこの相場を直ぐに把握していない中古車販売業者も多く、変わらずに低価格で在庫をカーセンサーやgoonet等に掲載していた店は直ぐに売約済みとなったとの事です(情報を知ってオークション市場に出せば100万円以上になりましたが、、、)

また、この高騰により日本中の対象マークⅡがミャンマーに流れ過ぎて輸入規制がかかる事となり、最後の方に高く買い付けたバイヤーは痛い目を見たそうです。

経済制裁/ロシア

今日現在終結の見えないロシアウクライナ戦争。

ロシアは日本の中古車の最大輸出相手国です。

富山県や新潟県等の日本海側には多くのロシア向け中古車輸出業者が場を構えています。

ウクライナ侵攻により経済制裁を科す国が増える中で、日本政府も輸出規制を行う事になりました。

2022年4月より、600万円以上の新車中古車のロシアへの輸出を禁止しました。

これが制裁となり日本車中古車の輸出は減るでしょうか?結果は逆でした。

ロシアから日本車メーカーが撤退した事により、ロシア国内では新車調達が行えなくなりました。

その為、日本からの中古車買い付けが急増したのです。600万円という規制、これに該当する国産車の方がはるかに少なく、対外的に制裁していますアピールのような裏事情を感じてしまうところがあります。

SUV車等のロシアで人気の車種は市場相場が高騰しました。

 

そして、長引く侵攻と制裁の緩さも浮き彫りとなり、2023年8月から制裁強化されました。


日本政府は2023年8月9日、米国や欧州と足並みをそろえるかたちでロシアに対する輸出禁止措置を拡大した。「化学工業生産品」や「鉄鋼」「輸送用の機械およびその部分品」など合わせて758品目が輸出禁止措置の対象品目として追加された。

中でも「輸送用の機械およびその部分品」については、今回新たに排気量1900cc超の自動車(ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車)、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)なども輸出禁止品目として追加された。ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシア向けの中古自動車輸出は増加傾向にあったことから、今回の輸出禁止措置拡大は一定の影響があるとみられる。

※日本貿易振興機構JETRO、WEBサイトより抜粋

日本政府は輸出禁止措置を拡大、中古車も輸出禁止に(ロシア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ (jetro.go.jp)


世界で最も高性能かつ人気の国産ハイブリッド車が全て禁輸となり、1800cc迄のガソリン車のみしか輸出が行えなくなりランドクルーザー等人気のSUV車も高排気量の為に禁輸となりました。

小排気量のガソリン自動車しか輸入出来なくなったので600万円の規制に比べて影響は大きい結果となりました。(制裁を科していない親ロシア国を経由する等、抜け道はあるようですが、、、)

最大の中古車輸出相手国であるロシアの影響は日本国内相場に大きな影響を及ぼしました。

また、不規則な状況により予想もつかない値動きをする車種も出てきています。

先日オートランド東京で買取りさせていただきましたフォレスターもその1車種です。

ロシアウクライナ戦争

スバルフォレスター SK系 1800cc C型モデルの相場高騰

2024年8月某日、お客様から買取りご依頼をいただきました。

車種はスバルフォレスター、令和3年5月新車登録モデル、型式は4BA-SK5です。

何とこちらのお車、新車価格は330万円程なのですが、オートランド東京がご提示致しました査定額は「390万円」となります。

(※2024/10/9追記 現地需要、輸出市況の変化と円高推移も重なり相場は8月から急落しています)

事故歴無く、内外装もキレイで走行も3万km未満の大事に乗られた程度良好車ですが、それでも新車価格を上回る査定額は入手困難な希少車等ではない限り通常では有り得ません。

もちろん、弊社が無謀な査定額を提示した訳ではなく、業者市場での相場を元に査定調査した結果となります。

ちなみに、某ディーラーでの査定は250万円との事でした。通常新車から3年落ちした場合には新車価格からの下落を考えればそのような価格になると思います。しかし、生の相場情報を都度真剣に調査査定すればそのような提示にはならないはずです(200-300万円の買取り1台で100万円以上の利益を狙う事は暴利過ぎます)。

オートランド東京ではコールセンタースタッフによる曖昧な査定、最近流行りのAI査定(実際は機械的にデータから目安を算出するだけ)ではなく、1台1台プロのスタッフが真剣に査定しています。

その為、お聞きする情報は「1分査定」を謳うような他社よりは多くなりますが、曖昧な内容ではなく、可能な限り具体的な査定額をご提示しています。

その為ユーザー様は、曖昧な査定や減額前提の見せかけの査定額につられて業者を呼んでしまい強引に契約させられてしまうような事はなく、事前に落ち着いて売却ご検討いただく事ができます。

お客様は新車価格を大幅に上回る査定額に驚き、理由は後程ご説明しますが、この相場が今後もずっと続くとは予想出来ない為に予定より急遽との事ですが弊社へご売却をいただきました。

簡単WEB査定依頼フォーム | オートランド東京 (autoland.jp)

相場高騰の理由

一体何故、そのフォレスターの相場は高騰したのでしょうか?

その理由はロシアへの経済制裁が要因となります。

2023年の制裁強化により1900cc超の中古車の対ロ輸出が禁止され、人気のSUV車もほとんどが対象となった事は前述の通りです。

今回のフォレスターは排気量が1800ccなのです。大型エンジン搭載が多いSUV車の中で、もとからロシアでも人気のフォレスターに「スポーツ」というグレードの1800ccエンジンモデルがあり、しかもターボ車なので小排気量高重量でもパワーも十分という輸入可能な車種の中でも大変好条件となっているのです。

その為、同じSK型でも2000ccモデルは相場爆上がりはしていません。

また、加えて特異な相場なのは、全ての1800cc車が引き合い対象ではなく、マイナーチェンジを繰り返す中で2020~2021年に発売されたC型モデルというものが急騰対象車となります。

※正式グレード名称ではありませんが、マイナーチェンジ毎にA型→B型→C型と呼ばれています

2021年8月からマイナーチェンジされたD型モデルは引き合いが弱く相場急騰していません。

仕様面、機能面の変更が条件に合わない等細かい事情があるようです。

同じ車種、同じようなグレードでも、新車から3年落ちした中古車が新車半年後の中古車よりも高額な査定となる不思議な状況となりました。

今後はどうなる?

この相場高騰は希少車だからでも、国内外で幅広く人気だからでもありません。

対ロ輸出という限られた要因により起きている状況です。

その為、この状況が今後いつまで続くかは予想ができません。

ロシアウクライナ問題が解決に向かい制裁が緩和された場合に、ロシアが輸入可能な中古車の条件も緩和され1800ccのフォレスターを強く買い求める事が無くなれば相場は急落するでしょう。

今後もこの制裁内容が継続し、為替の影響や国内に対象となるフォレスターの在庫が少なくなれば更に高騰する可能性も0ではありません。

こればかりは世界情勢、市況の影響が強く予測は不可能となります。

今が売り時なのか?

一部ネット上でもこの話しは出ていますが、売却をしようとして調べたオーナーしかこの情報に触れる事は無いかと思います。

高騰しているSK系C型1800ccモデルを所有者している方が今の売却相場を知った時には大変迷われるかと思います。

あくまで私個人の考えですが、今のうちに売却される事が良いのではないかと思います。

対象のフォレスターが、それ以降に発売されたモデルに対して優れているから高騰しているのではありません。あくまで対ロ要因により特定の仕様車の需要により高騰しています。

自動車としての性能をみれば、マイナーチェンジ後のD型は外観も新しくなり、最新のアイサイト搭載等仕様面でもグレードアップしてその後E型へ進化しています。

国内新車価格はほとんど変わっていませんので、もし今回のように3年前に購入したフォレスターを390万円で売却できたなら、今なら新車購入時の諸費用等を考えてもほとんど持ち出し無しで最新の新車に乗り換える事ができます。

どこで売却するべきか?

今回弊社で買取り致しました査定額は390万円となります(2024年8月)。

※時期や仕様条件により査定額は変わります

某ディーラーで250万円という提示だった中古車にこれだけの査定を行えたのは最新の相場情報を真剣慎重に精査して向き合ったからの結果となります。

売却の際は、過去の評判や雰囲気等から信頼できる買取り店を見つけていただく事が良いと思います。

また、今回のフォレスターで言いますと、相場高騰している車種がちょうど新車から3年落ちした時期となります。

いわゆる残クレという残価設定で購入されている場合、新車購入時に3年後(5年の場合も有り)の評価額を決めた上で残価設定契約しますので、この時期に満期を迎えると市場相場ではない契約時当初の金額評価で返却となってしまいます。

ここで高騰している相場を知っていれば、残価分は一括返済して所有権を自分に移して、その後弊社のような買取り店で高額売却できます。

しかし、今回の情報に触れていなければ解らないですし、ディーラーに言われるがままに進めてしまい一括返済して他で売却という手法まで頭が回らないユーザー様も多いのが実情です。

弊社では残クレ終了時のユーザー様から査定依頼を受けるケースも多いのですが、ほぼ全てのケースで残価よりも買取り額が上回ります。その為、買取り額で残価を一括返済して残った金額をお手元に残していただくというご提案を行うと喜んでいただきご売却いただけます。

オートランド東京高額査定

まとめ

今回はロシアへの経済制裁による要因で国内相場が急騰しているフォレスターのお話しでした。

その他お話しの事例のように、中古車の相場は国内の需要のみならず、対外的要因にも影響されています。

それは、各国のEV車が広がりつつある現在でも、変わらず日本車が世界中で人気で引き合いがある為です。輸入国の事情、為替相場等によっても私達の愛車の相場は変動しているのです。

不測の相場変動は予想する事が困難ですが、特に残クレ利用で売却の際には、残価額が適正な査定額であると信じるのみならず、信頼できる買取り店でも査定いただき比較される事が最善だと思います。

愛車ご売却はオートランド東京にお任せください

最後に宣伝となりますが、オートランド東京ではお問い合わせいただけますとプロスタッフが1台1台真剣に査定情報を精査し査定額をご提示致します。

また、可能な限り具体的な金額をご提示致しじっくりとご検討いただけるよう心掛けています。

20年以上1万台以上の実績となりますので、ご安心いただきサービスご利用いただけますと幸いです。

メール、お電話、LINEから簡単に査定申込みいただけますので、売却ご検討の際にはお気軽にお問い合わせください。

廃車、事故車、中古車の高価買取り・無料査定ならオートランド東京 (autoland.jp)

 

執筆者:株式会社オートランド東京 代表取締役 藤本卓史

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